動脈硬化の診断について

本当の動脈硬化の改善とは?

ここでお話しする動脈硬化の治療の内容は、どこかに書いてある動脈硬化の話でも、どこかの国が大々的に発表しているガイドラインとも全く異なるものです。

それらは動脈硬化による死亡、例えば脳梗塞や心筋梗塞による死亡率を何パーセント下げたかと言う様な物です。ですからこれらは完全に動脈硬化を抑制するための指針では有りません。

当院は耳鼻科医院であり難聴,眩暈を専門として長年治療を行ってきました。固定した難聴の項でも述べますが、内服にてLDLコレステロールを目標値を設定して下げると、かなりの確率で難聴の改善を認めるようになってきました。こういう治療を行ってゆく間に眩暈が止まる、頭痛がしない、不眠症が消えた、喘息が起こらない、花粉症が消えた等色んな症状の改善を認める患者さんが出始めました。

一方改善を認めない患者さんもおられたわけで、一体何処が異なるのか、手探りで調査を始めました。そこで気が付いたのが血糖値の問題です。

以前から動脈硬化の原因は、血圧、コレステロール、血糖値と言われてきましたが、どこの国の動脈硬化のガイドラインを見てもLDLコレステロールと血圧に関する目標値については詳しく書いてありますが血糖値に関する記載が全く有りません。血糖値の問題と言えばすぐに糖尿病が頭に浮かぶのですが、糖尿病でなくても食後高血糖の段階でも様々な動脈硬化疾患を引き起こすことが判ってきております。実際いろいろ調べてゆく内に、この血糖値と言う分野は全く未開の分野であることが判ってきました。

糖尿病の治療に関しても色々ガイドラインも出ておりますが、そこで言われている事をしっかり守れば患者さんは助かるのか?患者さんを糖尿病から救えるのか?事実は全く違います。何も良くなりません。糖尿病のガイドラインも動脈硬化のガイドラインと同じく不完全なものであることが判ってきました。つまり糖尿病の専門家に聞いても何も得る事がないという事です。

完全に自力で解答を見つけるしか無い、という事が良くわかりました。患者さんの体を実験材料に使う訳に行きませんので、自分の体を実験材料にして薬の効果や、血糖値及びコレステロールをどこまで調節したら良いのか、全く手探り状態で研究を進めました。実は私の家系は脳梗塞の家系で祖父, 叔父、父と3人共、脳梗塞で早くに亡くなっております。当然私の体も恐らく真面な体ではなかった訳で、不眠症、うつ病、めまい等色んな持病があったわけです。

試にLDLコレステロールを内服にて可也下げてみましたが、あまり体に変化が現れませんでした。以前保険会社の勧誘で生命保険に入ろうかと思って事前の審査を受けた時に先生血糖値がかなり高いですよ、と言われたことを思い出して自分の血糖値を簡易測定器を使って詳しく測定してみる事にしたのです。

所謂糖尿病の目安とされるHbA1cはそれほど高くは有りませんでしたが、時に血糖値が200mg/dlを超えるときが有り明らかな糖尿病である事も判ってきたのです。そこで沢山ある血糖値の薬を色々使ってみて、その効果と副作用、又どこまで血糖値を下げたらよいのか等ありとあらゆる事を試してみました。

当然薬が効きすぎて低血糖を起こした事も何度も有ります。その結果どこまでどの様に血糖を下げたら良いのかがわかり、糖尿病はうまく薬を使用すれば全くの正常な体に戻る事も判りました。その結果私の体は以前とは全く別の体になりました。鬱も良くなり不眠症もめまいも全くなくなりました。

それどころか体重もへり食欲も増え、体が疲れなくなり元気いっぱい医療に携わる事が出来る様になりました。そこで自分の体で得られたデータを患者さんの治療に反映させてきました。ここではその成果を自分のデータも交えて報告させていただきます。

ここに書いてある結果(2014年6月英文にて論文発表)は降圧剤を使用せずに血糖値とLDLコレステロールを治療する事でbaPWVの改善と同時に血圧の低下を示したものです。baPWVの上昇が意味する事は動脈血管の硬化、血管の肥厚、内腔の狭窄を示すもので、最近頻繁に測定されるようになりかなりの信頼性のある検査であることが判っております。これが改善して血管内腔の拡大と血管の柔軟性が改善した為に血圧が下がったことを示すものです。

つまり血管の動脈硬化が改善し本当に若返ったことを示す物です。血圧を降圧剤で強制的に下げてbaPWVの数値をある程度下げた報告は結構有りますが、真の動脈硬化の改善を示した報告は未だ有りません。この検査で異常のあった(血管年齢が上昇している)症例に的を絞って治療を行い、その治療後に血圧と血管年齢がどう変化したかを調べたものです。

2013年で動脈硬化の治療を行った約200例の患者さんの中からbaPWVが年齢に比して高く、軽度から中等度の高血圧を有する76例を選び降圧剤を使用せず、コレステロールと血糖値の治療を行い血管年齢の変化と血圧の変化を見たものです。図1と図2に治療前と治療後の血管年齢と血圧の変化を示しています。

血管年齢はほぼ実年齢に回復しておりこれに要した期間は平均で8.8ヶ月でした。その時に計測した血圧を示しています。収縮期と拡張期共かなり低下しております。

どうして血圧が下がったか?つまり動脈硬化そのものが軽減して、簡単に述べると詰まっていた血管が、詰まりが取れて内腔が広くなった事と血管の柔軟性が改善して血圧が低下したという事です。

正に血管が若返ったという事です。たった8.8ヶ月で血管が若返るのです。このデータは中途で来なくなった患者さんの物も入っていますので、辛抱してきちっと治療されている患者さんは全例元の年齢に戻っています。

動脈硬化が取れた真の血圧はこれぐらい低いという事です。実は血管が実年齢以上に若くなる場合もありますが、殆どの症例が実際の年齢止まりである事も判ってきました。しかしこの治療で実年齢に戻った血管は、何も治療を行わず実年齢のままである血管とは全く別の物である事も判ってきました。

当院のホームページで述べるその他の色んな疾患についての解説は、正に元に戻した血管についての報告です。

この欄に述べました血圧の報告からでも多くのことが読み取れます。つまり高血圧症例に対して現在は降圧剤のみの治療が殆どですが、これは明らかに間違っています。と言うのは、当院の治療の様に動脈硬化を改善すればかなりの高血圧でも下がってしまうからです。

現代医学の動脈硬化のホントのところ

実は現在の高血圧の治療にはJカーブと言うのが存在します。勿論血圧が高すぎても死亡率が増えるのは自明ですが、あまり降圧薬だけで血圧を下げ過ぎても心筋梗塞や脳梗塞がかえって増えて死亡率が高くなるのです。(図3)

つまり詰まりかかった血管の緊張を降圧剤で下げて緩ませてしまうと逆に詰まってしまうという事を明らかに示しているのです。

その為当院では高血圧の治療に関しては、LDLコレステロールと血糖値の治療による動脈硬化の軽減を優先して、それでも下がらない場合は遺伝的高血圧の因子が高いと考え、その時点で降圧剤を少しずつ足してゆく、という治療を行っています。(図4)

この方法を行うといわゆる降圧剤抵抗性の難治性高血圧も比較的簡単に下がってしまいます。現在当院では他の循環器科で治療が困難(数種類の降圧剤を組み合わせても血圧が下がらない)と言われた収縮期血圧が200を超える患者さんが結構おられますが、当院での治療の結果、全員血圧は120/70ぐらいで安定しております。

この治療では血管そのものが綺麗になる為に血圧の変動が殆ど無くなります。もう一つ血管について述べます。動脈硬化の原因はコレステロールと血糖値ですが、患者さんそれぞれに血管は全く別物でありそれぞれの患者さんで全く状態は異なるのです。

例えば年齢、性別、体重、LDLコレステロールと血糖値の数値が全く同じ動脈硬化の患者さんがここに2人おられるとしましょう。治療の方法や薬の内容は同じと思われるかもしれませんが、実は全く異なります。当院で血管の治療をされている患者さんは沢山おられますが、全く同じ処方の患者さんは一人もおられません。

それぐらい血管は人によって異なります。それを見極めるのが難しく時間もかかります。詳しく述べたらきりがないのですが、ここでお伝えしたいのは個人により全く血管は別物であり、それに対する治療もかなり異なります。

つまり今流行の治療ガイドラインというものは動脈硬化に関してはあまりあてにならないと言う事です。

一度、当院にお電話ください。TEL: 0740-32-3317

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